貧乏旅行の話

29.クメール遺跡を訪ねる3

プラサート・ムアンシン

プラサート・パノムワン

クープラコーナ

プラサート・シー・コラプーム

プラサート・サー・カンペン・ヤイ

ワット・プラタート・ナライ・チェン・ウェン

プラサート・プエイ・ノイ

プラサート・ムアンシン (PRASAT MUANG SING)

 プラサート・ムアンシンはバンコクの西部にある観光地カンチャナブリより、さらに西45kmに位置する。カンチャナブリは「戦場に架ける橋」で有名となった町である。第二次世界大戦の最中、日本軍によりビルマ戦線への補給路として、欧米人捕虜や現地人を利用し泰緬鉄道が建設された。町中には連合軍墓地や戦争博物館があり、現在も多くの西洋人観光客で賑わっている。この地域は古くからタイ、ビルマ両国の交易、軍隊の進行に使われたルートである。

 この遺跡はタイに存在するクメール遺跡としてはもっとも西に位置している。13世紀から14世紀に建設されたクワエ川のほとりにあるクメール都市であった。都市の周囲は四角形の城壁に囲まれ、各編の長さは880メートル余りある。さらに東西南北に城門が設置されていた。

 城壁内には4個所の建物跡が現存している。町の中央に位置している寺院はラテライト製で、4個所の門を持ち、回廊、中央祠堂が残っている。この寺院はメール山を模した物とされる。
 2番目の遺跡は建物の上部は残っていない。床部分にヨーニなどが配置されている。その他の遺跡は石が無造作に並べた状態にある。
 寺院脇にはここで発掘された仏像などを展示する小さな展示室がある。訪れる観光客はアクセスが不便なためか、多くはない。

入場料:40バーツ(2007年7月現在)

交通手段
 一番便利な行き方は"Kanchanaburi"駅より列車を利用する。早朝の列車に乗り"Ban Kao"にて下車、遺跡は駅より約1.5km離れている。しかしバスなどの公共交通機関はないので歩くことになる。ただし、列車は日に3本しかないので注意が必要だ。
 他の方法として、"Sangkhla Buri"行きバスにて途中まで行くことが可能である。しかし幹線道路からの公共機関がないため、バイクタクシーなどを利用するか、徒歩、ヒッチハイクとなる。

歴史公園入口
遺跡正面
 
南ゴプラ
回廊
 
中央回廊
展示室
 
モニュメント2
ヨーニ

プラサート・パノムワン (PRASAT PHANOMWAN)

 タイ東北部イサーンの主要都市コラート北東部に位置するクメール遺跡である。大きな遺跡であるが、近くにピーマイなどの有名な遺跡が存在するため、観光コースから外れていて観光客も少ない。遺跡近くには仏教寺院がある。遺跡の管理はこの寺院による。中央祠堂内には仏像が安置されている。
 遺跡は修復されているが、遺跡の周りには修復時に組立不明な石材が並べられている。

 私が訪問したときには観光客は誰も居らず、行商人が遺跡脇の木陰で休んでいた。遺跡の周囲は水田が広がる長閑なところである。
 遺跡観光後、来た道を歩いているとオートバイに乗ったおばさんが停まってくれた。そして、後ろの席を指さした。私は有り難く乗せて貰い、ソンテウが通る十字路にて下車、ワイをしてお礼を言い別れる。

 一般的にタイ人は長距離を歩かない。ちょっとした距離でもバスやソンテウに乗る。それは気候が暑く、歩いて汗をかくのを嫌ってのようだ。そこで歩いている人は非常に目に付き、彼らにとって奇異に思え、気がかりな存在のようだ。町を外れたところを歩いていると車が止まり、親切に乗せてくれることが多い。

入場料:無料

交通手段
 "Khorat"市内にある旧バスターミナルより、ソンテウに乗り遺跡近くの十字路で下車する。さらに1本道を1km余りを歩く。道の両側は住宅地から水田へ変わり、突き当たりが遺跡である。

遺跡全景
遺跡正面
 
中央祠堂
回廊

クープラコーナ(KU PHRA KOH NA)

 タイ東北部イサーン南部には多くのクメール遺跡が存在する。その多くはカンボジア国境近くに点在している。
イサーン南部中央に象祭りで有名なスリンの町がある。そこから少し北部に町の中心に大きな公園を持つロイエトがある。
 その2つの町の中間に位置する小規模なクメール遺跡がある。クメール寺院は11世紀に建造され、現在は仏教寺院の一部として利用されている。寺院は一部崩れた石壁に囲まれ、2棟のタワーがある。遺跡内には仏教寺院も建てられており、建造時とはかなり改造されている。

入場料:無料

交通手段
 "ROI-ET"のバスターミナルより"SURIN"行きのバスに乗り、寺院前にて下車する。しかし、町に戻るのが問題であった。手を挙げても長距離バスは止まってくれず、通り過ぎる。3時間ほど待ち、1台のバスが停まり客が下車した。そこでやっとバスに乗ることが出来た。

寺院正面
2基のタワーが立つ
 
ナガ
 

プラサート・シー・コラプーム(PRASAT SI KHORAPHUM)

 スリン市の北東30kmに位置する、12世紀に建設されたクメール遺跡である。遺跡は四方がバライ(貯水池)で囲まれている。その中央に煉瓦で作られた5基のタワーがある。タワーの高さは約30メートルある。

 中央に位置するタワー内部には仏像が安置されている。入口の門柱にアプサラと上部にシバ神の彫刻が残っている。

入場料:30バーツ

交通手段
 "SURIN"駅より列車を利用して行くのが便利である。乗車時間は約30分、"SI KHORAPHUM"駅にて下車する。遺跡は駅の南東方向に位置し、1km余り離れている。徒歩又はバイクタクシーにて行くことが可能、遺跡の隣には仏教寺院がある。

タワー
タワー入口のシバ神
 
タワー入口の柱
タワー入口の柱

プラサート・サー・カンペン・ヤイ(PRASAT SA KAMPHAENG YAI)

 シーサケット市の西8kmに位置する、11から12世紀に建設されたクメール遺跡である。建設当時はシバ神を祭ったヒンズー教の寺院であった。遺跡は6基の塔と回廊で構成されている。

 遺跡の隣には仏教寺院がある。寺院の敷地内には地獄を表現した彫像が配置されている。

入場料:無料

交通手段
 "SURIN"又は"SI SA KET"駅より列車を利用して行くのが便利である。"SURIN"駅より乗車時間は約1時間、"UTHUMPHON PHISAI"駅にて下車する。駅の手前、進行方向左側に遺跡が見える。遺跡へは駅より徒歩又はバイクタクシーにて行くことが可能で、駅からの距離は1km余りである。

中央祠堂
遺跡と寺院
 
回廊
回廊

ワット・プラタート・ナライ・チェン・ウェン(Wat Phra That Narai Jaeng Waeng)

 サコンナコン市の西5kmに位置するクメール遺跡である。10世紀から11世紀にクメール王妃ナライ・チェン・ウェンにより、建設されたバプアン様式のプランである。塔は砂岩を積み上げた5層からなり、ビシュヌー神、踊るシバ神などの彫刻がある。しかし、内部には仏像が安置されている。最も完璧な形を残しているクメール建造物とされる。

 クメール遺跡はバンタット村にあり、幹線道路から500メートルほど入った仏教寺院の一角にある。

入場料:無料

交通手段
 町中心の市場よりソンテウに乗り大通りを西に向かう。幹線道路の交差点手前"Talat Ban That Nawaeng"にて下車する。住宅街を抜けると寺院に突き当たる。

 
シバ神
ビシュヌー神

プラサート・プエイ・ノイ(Prasat Puay Noi)

 プラサート・プエイ・ノイはタイ東北部、コーンケーンとコラートの中間に位置する。12世紀に建設されたクメール遺跡である。
 遺跡の両側には寺院を囲うようにバライ(貯水池)があり、遺跡は低い石壁で四方が囲われている。遺跡は東向きで、東側と西側に2ヶ所の門がある。遺跡内部は3棟の建物群からなる。この遺跡はパプアンとナコンワット様式で作られている。基礎部はラテライト製、上部は煉瓦製のヒンズー教寺院である。建物上部の彫刻物などが残っている。この遺跡はコーンケーン県により修復されている。

 プエイ・ノイはイサーンの静かな田園地帯にあり、交通もかなり不便なところだ。私が遺跡を訪ねたのは日曜日の午前中であった。なるべく暑くなる前に観光し、戻る計画を立てた。またタイの田舎では午後遅くなると町に戻る交通機関が無くなることも心配される。早朝7時発のバスに乗り、バンパイのバスターミナルで下車する。ここでプエイ・ノイ行きの大型ソンテウに乗り換える。乗り継ぎに時間を要したため、遺跡到着は10時前となった。遺跡には10人ほどの地元の人々が見学していた。遺跡の脇には仏教寺院があり、道路を隔てて大きな貯水池がある。貯水池沿いには屋台があり、食事も可能だ。帰りは12時のソンテウに乗りバンパイを経て、コーンケーンに戻る。

入場料:無料(観光案内書には30バーツとあるが、料金の徴収はされていないようだ。)

交通手段
 "Khon Kaen"または"Khorat"よりバスまたは列車にて"Ban Phai"まで行き、バスターミナルより"Puay Noi"行きの大型ソンテウに乗る。"Khon Kaen"からの距離は約80km、約2時間。ソンテウは"Ban Phai"の町を抜けると、地元の客を降ろしたり、乗せたりしながらイサーンの田園地帯をのんびり走る。

遺跡遠景
遺跡正面
 
遺跡内部
遺跡内部
 

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