ブロードバンドへの道

300ボーモデムの時代

2400ボーモデムの時代

ISDNの導入

ADSLの導入

高島平団地におけるADSLの現状

光ファイバー通信

光ファイバー通信(VDSL100Mbps)

300ボーモデムの時代

 8ビットベーシックパソコンの利用はワープロ、表計算、ゲーム等が一般的でした。新たなパソコンの利用方法として、データ通信が注目され始めました。IBM、PC−VAN、アスキーネット等のデータベースや、証券会社のコンピュータに直接アクセスする通信ネットが試験的に開始されました。

 これらの時代の流れに沿う為、1986年11月モデムを購入しました。アイワ製300ボー全二重方式モデム「PV−2123」です。このモデムは半二重方式1200ボーにも対応していましたが、利用する機会はありませんでした。
 モデムのNCUは簡易型で、発信、着信は手動でした。外部電話機によりダイアル発信した後、ネットに接続されたのを耳で確認し、手動にてラインボタンを押す方式です。

 私の所属した日本電気(株)が運営する、パソコン通信ネットPC−VANは、1987年3月に試験運用が終了し、正式に発足しました。電子掲示板を介してパソコン情報の入手や、パソコン、周辺機器等の売買をすることになります。

 当時利用していたパソコン、東芝パソピアPA7010には、市販の通信プログラムは存在しませんでした。最初は半角英数字、カタカナ表示のみ可能な、自作簡易ターミナルプログラムで、ネットにアクセスしていました。しかし漢字、ひらがなが表示できない環境では、得られる情報が限られていました。そのため漢字ターミナルプログラム、日本語を入力する為の漢字エディターを、ベーシック言語にて作成することになります。

 この時代は電話回線にモデムを取り付けるには、NTTへ「端末設備接続(変更)請求書」を提出する必要がありました。モデムに添付されている葉書に、端末機器名、電話番号、設置場所、連絡先を記入し申請します。

 NTTの通信料は3分10円、PC−VANの接続料は従量制で3分20円、固定料金制で一ヶ月2000円でした。
 1985年4月1日、日本電信電話公社が民営化され、日本電信電話株式会社(NTT)が発足します。
 

2400ボーモデムの時代

 8ビットパソコン上のベーシック言語や、CPMによるプログラム作成の時代は終わりを告げました。パソコンのCPUが16ビットに変わり、OS環境がMS−DOSへと変化してきました。同時にパソコンは一部のマニアの遊び道具から、会社等での事務処理機器として認知され始めました。

 1989年1月、エプソン製ラップトップパソコン、PC−286Lを購入します。続いて2月にアイワ製全二重方式、2400ボーモデム「PV−A2400MNP4」を購入し、パソコン通信の高速化を図りました。
 この時代のプログラムの多くは、MS−DOS上で作動する物です。パソコン通信用プログラムは、CCT−98を利用しました。

 このモデムはISDN用のターミナルアダプタを購入するまでの7年間利用することになります。モデムはその後9600bps、14400bps、28800bpsと高速になって行きます。しかしネットへの接続料金も同時に高くなることもあり、文字が主体のパソコン通信では、高速モデムの必要性を感じませんでした。

 この時代もNTTの通信料は3分10円、PC−VANの接続料は3分20円でした。
 

ISDNの導入

 1988年4月、NTTはISDNサービスを開始します。電話回線のデジタル化、ターミナルアダプタの利用により、電話やファクスが同時に利用できることになります。しかし、2回線利用できることで、基本料金が1080円高額になりました。

 1993年日本に於いて、インターネットの商用使用が開始されました。しかしインターネットが一般化し使える環境になるのは、WINDOWS95が導入されてからです。それまでのWINDOWS3.1ではTCP/IPや閲覧ソフト等のプログラムの組み込みが必要でした。

 当時私の利用していたパソコンPC−486MVはエプソン製の為、半年ほどWINDOWS95の発売が遅れました。1996年3月、パソコンに導入となります。その後メモリー、グラフィックボード、RS232Cボード等を購入し、インターネットを快適にアクセスする、パソコン環境の改善をすることになります。
 今まで利用していたモデムが2400ボーのため、インターネットに対応できる高速モデムの導入が必要となりました。しかしエプソン製パソコンのシリアル速度は最高19200bps(後に38400bpsで利用できる事が判明)で有った為、シリアルボードが必要でした。
 この頃のモデムの最高速度は28800bpsでしたが、ISDNは64000bpsと2倍以上の通信速度が可能で、安定度も高く魅力的でした。

 1996年7月、ISDNの導入を決断しました。しかしこの頃は団地内にISDNを導入するには問題があったようです。工事に来た下請け業者によると「116番の担当者が、申し込みを受け付けてしまったので工事をするが、他の団地住人には黙っていて欲しい」との話がありました。交換局と団地間の回線距離の関係で、信号減衰の可能性があり、建物内で2回線を利用する。しかし団地内では電話回線に余裕がないのが理由でした。

 購入したターミナルアダプタは、NTT−TE発売の「MN128」で、通信速度は64kbpsと128kbpsに対応しています。64kbpsでの通信料とプロバイダ接続料金は3分間30円(1時間600円)、15時間の接続料金は合計で10,000円余りでした。

 1996年9月、無料インターネット接続サービス「アスキー・インターネットフリーウェイ」に加入します。かかる費用は通信料のみ、15時間余りで4,000円でした。しかし定期的アンケートに答える必要があり、かつ広告が画面に常時表示されました。この無料サービスは1997年12月、運営会社(株)ハイパーネットの倒産により閉鎖されます。新たなインターネットプロバイダを捜す必要に迫られました。

 1996年11月、NTTはISDN回線(64/128kbps)にてパソコンとNTTのサーバを直接ダイアルアップ接続する「ええぞう128ワールド」を試験運用します。東京ではフリーダイアルにて各国政府観光局の宣伝ビデオ、各県の観光ビデオ、水着ショービデオや日替わりで出演者が替わる「水着姿のお天気お姉さん」などの動画を楽しむことが出来ました。
 動画再生ソフトはVDO(VDOLive Player)、SurfVが使われていました。しかし私のパソコンでは音飛びの発生や動画が滑らかに再生出来ませんでした。このサービスはNTTが東西別会社に分離される、1999年6月に終了します。

 1998年2月、NTT系プロバイダ「ぷらら」にオンライン会員登録をしました。しかし夜の11時になると、INSテレホーダイ時間帯となり、電話が繋がらないことが解り、直ぐに退会手続をしました。
 「ぷらら」のインターネットセットは通信料別で1ヶ月1,800円、昼間の接続は無制限、夜間11時からの接続は15時間でした。またまた良いプロバイダ捜しが必要となりました。

 1998年12月、今まで利用していた日本電気(株)が運営する、PC−VAN(1996年7月BIGLOBEが誕生)のインターネット接続速度が、他社と比べ遅い事を知り「アサヒネット」にプロバイダを変更しました。これにより完全にパソコン通信から決裂することになります。ここで初めて12年間利用してきたメールアドレスを変更する事になりました。変更猶予期間は4ヶ月間としました。
 15時間のインターネット接続料金は合計で6,000円余りとなりました。

 1999年10月、ISDN通信割引制度Iプラン1200(通信料金3,000円相当の利用が1,200円の定額となる制度)を導入しました。これで15時間の接続料金は合計4,000円余りとなりました。

 2000年5月、NTTはISDNの通信料定額サービス「IP接続サービス」(後にフレッツISDNと変更)を東京23区に拡大します。2001年3月ADSLの進捗状況を把握した後、フレッツISDNの契約をして、常時接続の環境となりました。インターネットの利用方法も、時間を気にしながら電話回線に接続、遮断を繰り返す方式から、時間を気にせずにネットサーフィンを楽しむ環境となりました。
 1ヶ月間のインターネット接続料金は合計5,000円余りとなりました。
 

ADSLの導入

 ADSLが急速に一般化するのは、ヤフーBBが2001年6月に参入してからです。ヤフーBBは初期の対応が悪く、大きな社会問題になります。ISDNに固着していたNTTもこれに対抗し、ADSLを各電話交換局に拡大していくことになります。ところが高島平団地では、途中回線に光りケーブルが利用されているとの理由で、NTTの116番に問い合わせても、ADSLの申し込みは不可能でした。

 半分諦めていたのですが、駄目もとのつもりで、イーアクセスに問い合わせたところ、可能との返事が来ました。2001年8月、NTT内の回線試験を行い、可能との結論で9月上旬に導入されました。デジタル回線からアナログ回線に戻すときにも、今までの経過を説明し、NTTの職員に再確認をしました。しかし、数日後に問題なしとの結論になりました。

 ところが導入して直ぐに、回線リンクが自動的に切断される問題に直面します。1ヶ月ほど様子を見た後、改善をプロバイダに申し込み、調整をして貰います。しかし、下り速度が低下しただけで、何等改善されませんでした。室内における配線や、ADSLモデムの設置場所の改善も検討しましたが、考えられる一番の問題はデジタル回線との干渉と思われます。その為、設定を元に戻して貰い、現在もそのままで利用しています。残念ながらこの現象は現在も改善されていません。

 ADSLでの最低接続速度は9.6kbps、最高接続速度は1180kbpsであり、回線状況により大きく変化する事があります。しかし現在は導入時より下り速度が幾分上昇しています。
 現在の費用は1.5M常時接続、プロバイダ料金込みで1ヶ月3,200円余りとなっています。

 現況平均回線接続速度
 下り:750−950kbps
 上り:512kbps

 線路距離長:3080m
 伝送損失 :  41dB

 1999年12月、東京メタリック通信がADSL1.5Mサービスを開始します。サービス開始時のADSL下り接続速度は、1.5Mbpsが一般的でした。しかし2001年6月に、ヤフーBBが8Mbpsで参入したことにより、他社もこれに追随し、2001年下旬には8Mbpsに対応します。更に2002年中旬より12Mbpsが各社より提供されます。
 2003年中にはADSL+と呼ばれる24Mbps接続の新たな規格が予定されています。
 

高島平団地におけるADSLの現状

 高島平団地2丁目南側の建物と、NTT練馬北町交換局との直線距離は2.1km、道なり距離は2.6km余りあります。3丁目北側の建物では直線距離で3km、道なり距離で3.9km余りとなっています。ADSL8M規格は距離が2kmを越えると急激に減衰します。この距離から考察すると、8M規格を採用しても速度が出ない可能性があります。しかしこれもメタル回線が確保されたらの話です。 

 2001年10月、「NTT ADSL工事のお知らせ」というチラシが各戸に配布されました。配布したのはNTT正規取扱店「F.U.Nブロードバンド受付センター」となっています。新たな回線工事が行われたのかと思い、問い合わせのメールを送ってみました。しかし業者からの回答によると、回線は何等改善されていなく、今後もISDNか、今後可能になる光ファイバー通信の利用を推奨する物でした。NTTはあくまでもADSLは受け付けない方針にあるようです。

 チラシの詳細はこちらへ

 回答の詳細はこちらへ

 NTT・ADSL診断コーナー
 

光ファイバー通信

 2001年下旬より高島平においてもNTT−Bフレッツが利用可能となっています。しかし団地内にてマンションタイプを利用する場合には都市基盤整備公団の承認、参加住民の募集など乗り越えなければならない障害も多く、ADSLと比べた場合料金が高いのも大きな問題です。

NTT−Bフレッツの場合(プロバイダ料金を含む)
 ファミリータイプ(10Mbps)
  工事費    :28,700円
  月額料金   : 6,900円
  プロバイダ料金: 1,400円(朝日ネットの場合)

 マンションタイプ(100Mbpsを16人以上にて利用)
  工事費    :21,600円
  月額料金   : 3,700円
  プロバイダ料金: 1,400円(朝日ネットの場合)

 現在高島平団地住民が利用できるブロードバンドは、料金の高い光ファイバー通信のみで、他に選択の余地は少ないのが現状です。2000年頃から板橋区内にCATVが敷設されていますが、未だ団地には実現していません。その他にスピードネットのような無線方式もありますが、提供地域ではありません。今後の改善が望まれるところです。
 

追記(2002年9月1日)
 都市基盤整備公団の既存賃貸住宅へ、高速インターネットサービス(VDSL方式で最速15Mbps)提供事業者の公募があり、東日本、西日本共にKDDIに決定したようです。高島平団地の開始予定は2002年11月頃となっています。

 最大通信速度:上り下り15Mbps
 通信方式:VDSL方式によるLAN
 初期費用:15,000円
 月額料金: 2,450円

 詳細はDIONサイトへ

 公団賃貸住宅のIT化について
 

追記(2003年1月25日)
 2002年10月上旬、団地各戸にKDDI高速インターネット開設を知らせる封筒が配布されました。
説明会に参加し疑問点を確認してきました。
 1.光ケーブル一回線は何人で利用するのか:100人にて利用、100人以上になれば回線を増加する予定
 2.最高接続速度はどの位が可能か:CPUの速度、OSの違いで何とも言えないが15Mbpsは出ない
 3.申し込みは随時行うのか:郵送にて受け付ける

KDDI高速インターネット申請後の経過状況
 1.現在利用しているADSLのキャンセル手続き
 2.12月中旬「タイプV個別2利用申込書」をKDDIに郵送
 3.5週間後「利用開始案内書」が郵送される
 4.2日後接続工事完了の連絡
 5.1日後VDSLモデム受領
 6.2日後正式に使用可能となる

 申請前にカスタマーサービスセンターへの問い合わせでは、申請後3〜4週間との返事でしたが、実際には開通まで6週間余りがかかりました。さらに問題点としてオンラインでの申し込みが出来ないこと。申請後開設まで時間がかかることでした。
 上り下りの速度は最高15Mbpsとの仕様ですが、今回の速度確認では「上り」はかなり遅い結果となりました。この件は直接KDDIに確認したところ、設定による可能性があることが解りました。また利用する閲覧ソフトにより速度の違いが大きいことが明らかになりました。

 現況最高回線接続速度(IE5.5SP2にて測定)
 下り:13.6Mbps
 上り: 5.3Mbps

 開通までのスケジュール

 DIONスピード測定サイト
 

光ファイバー通信(VDSL100Mbps)

 2005年1月下旬、「インターネットサービス設備の変更と手続きについて」がKDDI(株)より利用者に送付されました。「都市機構との協議により、インターネットサービス設備の変更を実施する」趣旨が説明されています。また、2月下旬には集会所にて説明会が実施されました。

 その内容は
1.最大100Mのインターネット
2.NTT加入電話が不要になる電話サービス
3.多チャンネルテレビの視聴
4.15Mインターネットと同等のサービス
5.初期費用、基本料2ヶ月間無料
を歌って新しい「KDDI光プラス」への変更を勧誘しています。

 しかし何点かの疑問が出てきました。
1.光ファイバー基幹ラインの最高通信速度、および共同利用者数が不明。
2.NTT電話が不要としているが、コレクトコール、フリーダイアル(0120)が利用できない。
3.現在と同等速度16Mへの移行では、現在利用できるIP電話が対応していない。
4.IP電話が利用できる基本料金は現在の料金3160円から、4777円に高額となる。
5.KDDI光プラスデラックスではVDSLモデムがレンタルとなる。
6.現在の15Mサービスは年内で終了する。

 一方的なサービス廃止、現在と同等でない移行に強い疑問を感じます。現在インターネット15MとIP電話のみ利用している方は注意が必要です。

 KDDI光プラスサイト

 
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